開発ログ

管路音圧監視システム LNL- 1 フジリークネッツ

高感度センサを搭載した人の耳に代わり漏水を監視する新しいコンセプトの漏水探知器

いままでの漏水調査では、熟練した調査員が漏水探知器を使い、経験に基づき自らの耳を頼りに歩いて漏水を探していた。日本ではこのような匠の仕事のおかげで、漏水率は全国平均5%程度と、世界的にも極めて効率的な配水システムを完成させた。しかし、漏水率が低くなったからといって漏水調査をやめてしまうと漏水率は悪化してしまうため、管路1㎞あたりの漏水が0.2件という非効率な調査を実施せざるを得なく、また熟練調査員も年々減少していたこともあり、人のスキルに頼らない漏水探知器の開発が求められていた。そこで開発されたのが、常時設置型の「管路音圧監視システム リークネッツ」である。このリークネッツは手のひらサイズの金属筐体に、高感度センサーを内蔵した電池駆動、完全防水の漏水探知器で、水道バルブや消火栓に内蔵マグネットで固定し、センサーから最大250mの範囲で発生した漏水音を捉えることが可能。そのデータは専用ターミナルから無線で取得することができる。この機器の開発により、今まで人の耳と経験に基づき探していた漏水を、半自動でとらえることが可能となった。当然、漏水がないことを確認することもでき、漏水が少ない現在の日本の水道管路において、飛躍的に調査効率を向上させることに成功した。

「小型化と低消費電力化に苦労しました」と語る開発担当者

この小さな筐体に、人の耳の代わりになる要素が詰まっている

バルブにマグネットでつけるだけの簡単設置

【開発者コメント】

この製品には企画から開発担当としてかかわりました。既存の漏水探知器設計は経験していましたが、ここまでの小型化となると、これまでの設計概念を変え、すべての要素を一から見直す必要がありました。特に小さな筐体の中で何年間も稼働させる為の、省電力設計にはとても苦労した記憶があります。その他にもセンサーや無線機の開発など、自分の力不足を感じる場面もありましたが、周囲のサポートで乗り切ることが出来たと思っています。その結果として複数の特許を取得できたことも、技術者として今後の大きな自信になりました。現在ではこの製品を使った漏水調査、監視工法が全国の水道局に採用され主流になってきています。開発では大変苦労しましたが、自分が開発した製品が世界の水道インフラを見守っているという実感を持つことができ、とてもやりがいを感じることができました。